1985年〜1986年 うたざいもん

佐藤通弘と共に津軽の歌がたり「うたざいもん」を始める

 1985年12月19日 原宿アコ・スタジオ 日本人なら『うたざいもん』 国本武春、新しい浪曲で、今飛躍

 12月19日、原宿アコ・スタジオ『うたざいもん』この会は、国本武春の浪曲と、佐藤通弘の津軽三昧線のコラボレーション。会場は、五、六十人も入ればイッパイというミニ・スペースだが、音響が良いのは、三味線にはもってこい。

 まず、佐藤通弘の津軽三味線を聞かせたあと、軽いトークとお遊びのコーナーがあって、最後が浪曲という三部構成。浪曲と言っても、テーブル掛けも湯のみ台も何もない。作務衣を着た武春と佐藤が、明治時代の門付け芸人のタケボウ(語り)と
ミチボウ(三味線)になって、途中、民謡や芝居をおりこみながら、話を進めてゆく。

 語り芸のルーツを探るといったストーリー、ケレンもたっぶりで飽きさせない。短い間に盛りだくさんの中身が、なにより注目すべき点だ。
 津軽三味線で海外ツアーもやっているという佐藤通弘は、浪曲の三味線の即興性や、範囲の広い型におおいに興味を示している。
 作・構成も手掛けている武春は、『自分たちのおもしろいと思うことをドンドン追求していき、新しい浪曲のイメージを作りたい』とはりきっている。
 武春、二十五歳。佐藤通弘、二十八歳。客席は同世代の人たちがはとんど。津軽三味線の響きに耳をかたむけ、浪曲のケレンには声をあげて笑っている。
 若い世代だって邦楽がわからないわけじゃないんだ。ようは入り方なんだと思う。
 この会を見て欲しいと思う、「武春の浪曲」がそこにはある。
 次回は、四月の予定。
 
 この公演はテレビ東京、1986年2月1日、12時より「青春の日本列島」という番組で放送されました。


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