国本武春 ベンベン旅日記(8) パリのお馬場ちゃん

本日の国本、うなる代わりに旅日記とまいりましょう あがった あがった 2001.11

 レコーディングでパリに行ったとき、コーラスを録音しようと アフリカ人の女性コーラスをスタジオに呼んだ。 アシタンとマニアと言う二人の女性。体格も声も凄い迫力でこれぞまさしくアフリカン!

 しかしこの二人、歌詞が日本語のため、なかなか歌いだしのタイミングがつかめないらしい。 どうしたらわかって貰えるかといろいろ試行錯誤していると、 突然二人のアフリカンらしき男性がスタジオに飛び込んできた。 最初、アシタン、マニアの二人となにやら話をしていたのだが、 何故かその後急におとなしくなって、スタジオの隅のソファーで じっとこの女性達の仕事振りを見守っていた。

  ところがこのアシタンとマニア、いつまでたっても上手くいかない。 もうかれこれ三十分が過ぎたころ、アフリカンの男性のうちひとりが 突然立ち上がり、ガラスの向こうの女性達に向かって何か大声で言い始めた。 こちらの声は向こう側には聞こえないのだが、何となくこちらの様子に 気付いた彼女達、この男性に向かって、 「オー、ババチャン!」 「えっ?・・おい、この人馬場ちゃんて名前らしいよ。」 思わぬ名前に我々も吹き出してしまったのだが、後で話を聞いてみると 結局この二人、今コーラスをしているアシタンとマニアの彼氏らしく、 彼女達の今日の稼ぎをあてにして、 仕事が終わったらどこかへ遊びに行こうという約束であったらしい。

  あまりにも彼女達のコーラスがうまくいかないので、 例のババチャンが早く遊びに行きたい一心、にわかディレクターを買ってでたのである。 しかしナントそれからと言うもの、このババチャンのアドバイスが利いたのか 仕事がスイスイとうまく行き、あっと言う間にOKとなった。

 念願のギャラを手にしてウキウキ帰ろうとしているババチャンに向かって、 「ババチャン、バイバイ」 と言うと、そのババチャン、 「オー、バイバイ!」 やっぱり、本当に馬場ちゃんだったようだ。 〜♫ベンベン


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