国本武春 ベンベン旅日記(12) 夢のブルーグラスフェスティバル

本日の国本、うなる代わりに旅日記とまいりましょう あがった あがった  〜2001.12

 昨年の6月、中学時代からの友人と3週間かけてアメリカを旅した。 レンタカーを借り、テントと寝袋を積んで、 大好きな音楽「ブルーグラス」のフェスティバルをあちらこちらと回る旅。

 ブルーグラスはカントリー音楽の一種で、 アメリカ東南部を中心に、毎週必ずどこかで フェスティバルが開かれていると言うぐらい人々の生活に密着した音楽である。 バンジョー、マンドリン、ギター、ベース、ヴァイオリンの5つの楽器で演奏されるブルーグラスは、 スピード、タイミング、アドリブ、そしてハイロンサムと言われる 高く物悲しいボーカルで表現される最もアメリカらしい音楽。 私は中学2年の時にラジオでこの音楽を聴いてからと言うもの、 もう学生時代は明けても暮れてもブルーグラス。 いつかは本場のブルーグラスを・・という願いが25年の時をへだてついに実現した。

 バージニア、テネシー、と各地のフェスティバルを回り、 ブルーグラスの生みの親、ビル・モンローのお墓をお参りして、 6月10日ケンタッキー州レキシントンのフェスティバルへ。 このフェスティバルには先年来日して、 私もちょっと一緒に演奏させて貰ったことのあるジェフ・ホワイトが出演する。 昼のステージが終わり楽屋へ行くと、夜のステージでは一緒に演奏しようとのこと。 こんな事もあろうかと、日本から三味線を持って行っていた私、 ついに本場のブルーグラスフェスティバルに出演することになった。 数曲演奏した後ジェフが私をステージに呼び込む。 「今日は日本から面白い奴が来ている。シャミセンという バンジョーのような楽器を演奏する男、タケハル・クニモト!」 ワーッ!という大歓声と共に何故か笑いが起こる。
 私はどうせできない英語、変に媚びるよりここはひとつ本格的にと 忠臣蔵、刃傷松の廊下を語り唸った。 何とも言えないどよめきと歓声。 そしてバンジョーの曲として有名なフォギーマウンテンスペシャル。 5000人以上は居たであろう観客が 一斉にスタンディングオベーション。 国は違うが同じ音楽を愛するものに感心したのか、 ただ珍しかったのか、それとも出てきた体型がおかしかったのか その真意は定かではないが、 夢にまで見た本場のブルーグラスフェスティバルで貴重な体験をさせて貰った。

 音楽はほんとにすばらしい。ほんの数分間で人々を和ませ仲良くさせる。 大好きなブルーグラスを通じて、人間のすばらしさ、 音楽のすばらしさをお腹の底から感じさせてもらったアメリカの旅だった。  〜♫ベンベン


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