国本武春 ベンベン旅日記(5) コラの名手

本日の国本、うなる代わりに旅日記とまいりましょう あがった あがった 〜2001.11

 パリはアフリカのミュージシャンの多く集まるところ。 そんなパリで浪曲師の私が アフリカのミュージシャンたちとレコーディングをしたことがある。 

 しかし、どのミュージシャンも初めて出会う人ばかり。 中でも「コラ」と言う楽器の名手ラミン・コンテさんとのセッションは、 私自身そんな楽器を見た事も聞いた事も無かったのでかなり不安だった。 「それならばレコーディングの前に一度ラミンさんのお宅に伺って、 ちょっとお手合わせをしてもらおう。」 と言うプロデューサーのはからいで、ある日の午後ラミンさんのお宅に伺った。

 ちょっと一杯やっていたのか、それとも普段からそういう性格なのか、 ラミンさんは我々日本人をメチャクチャ上機嫌で迎えてくれた。 酒を振舞い、また自分の娘の自慢をし、終始ハイテンションでしゃべりっぱなし。 しかしそれがあまりにも延々と続くので、話のスキを見つけて 「ちょっとコラを弾いてみてくれないか」と頼んでみると、 「オー、OK,OK!」 と、思い出したように奥の部屋からコラを出してきた。 それは丁度、大きなヤシの実に弦をたくさん張った竪琴のような楽器。 「今、チューニングするから」 と調弦に取り掛かったラミンさん。 あっちを合わせりゃこっちが狂い、こっちを合わせりゃあっちが狂い、 いままでの陽気さは何処へやら、必死になって何十本もある弦と格闘。 「弦が多いからたいへんですよね~・・」なんて言っていたのも最初のうちだけ。 三十分、一時間たってもチューニングが終わらない。

「おい・・大丈夫かよ・・」 我々がしびれを切らせ始めた頃、 「オウ・・今日は音が合わないから止めましょう。」 とさっさと楽器を片付け、また以前のように陽気に飲んでしゃべり始めた。 不安だから、と思い訪ねたラミンさんお宅。 さらに不安になった我々。 みんな無言でホテルへ帰った。 〜♫ベンベン


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